なぜ浜田山は高級住宅街と言われるのか

土地の価値

「都内の高級住宅街」といえば、皆さんはどこを思い浮かべますか?白金、田園調布、松濤などが都内の高級住宅街として有名ですが、杉並区の「浜田山」も高級住宅街として挙げられます。

この記事では、なぜ浜田山は高級住宅街といわれるのかについて見ていきたいと思います。

浜田山について

浜田山はどこにある?

浜田山駅

今回、高級住宅街として取り上げる浜田山の最寄り駅は、京王井の頭線の浜田山駅。渋谷駅から急行を使って約13分、吉祥寺駅から約10分ほどです。

駅周辺は北側、南側どちらも食料品、雑貨などのお店が充実しています。駅前の商店街を抜けた先には、閑静な邸宅街が広がります。商店街には、個人店だけではなく西友や成城石井、コモディイイダといった大型スーパーもあり、買い物には不自由しない環境です。

浜田山の地価は高いのか

なぜ浜田山が高級住宅街といわれるかを知るにあたって、浜田山の土地の価格も確認しておきましょう。「公示価格」と呼ばれる国土交通省が毎年3月に発表する土地価格の評価によると、2023年の浜田山の住宅街にあたる杉並区浜田山1-9-12の地価は、61.9万円/m2(204.6万円/坪) となっています。

61.9万円/㎡は100㎡の土地の場合、6190万円になりますので、家を構えるにあたって多額のお金が必要であることは間違いありません。ただし、同じ杉並区のJR線沿線の荻窪駅徒歩圏内の住宅地にあたる荻窪3-32-3の地価は、77.8万円㎡(257.1万円/坪)、高円寺南4-40-10の地価は、67.6万円/㎡(223.4万円/坪)となっており、高級住宅街と言われるは浜田山が杉並区内で最も高いエリアというわけではありません。

浜田山が高級住宅街といわれるのは、単に土地の価格だけではなく、広い敷地や整備された道路、街並み、眺望など浜田山が持つ魅力、そこに住む人々によるところが大きいのです。それでは、なぜ浜田山が高級住宅街といわれるようになったのか、見ていきましょう。

浜田山の歴史

「浜田山」の地名の由来は江戸時代に遡ります。当時、浜田山一帯は木が生い茂っており、江戸の米問屋である「浜田屋」が所有する森林があり、そこに浜田屋の墓があったといいます。これを当時の人々は「山」と呼んでいたとのことです。

それにちなんで、明治時代に「浜田屋」の「山」から地名を「浜田山」とし、1933年に開通した帝都電鉄(現在の京王電鉄の前身会社の一つ)の駅名にもなりました。

帝都電鉄が開通した当初はのどかな田園地帯が広がる風景だったようですが、戦後復興の歩みとともに都心近郊の住宅街として開発が加速しました。ただ、浜田山が他の住宅街の開発と異なっていたのは、多くの緑を残しながら都市の開発が進んだことです。

1924年の国際都市計画会議で提唱された開発しない地域をあえて残す「グリーンベルト構想」に大きく影響を受けて1932年に策定された「東京緑地計画」で、浜田山周辺は緑地指定地域となり、建ぺい率がわずか10%と制限されたことが、緑に多く囲まれた都内でも独特の魅力がある浜田山の発展につながりました。

東京緑地計画区域(東京市付近)
1932年に策定された東京緑地計画の区域。赤く囲ったエリアの環状緑地帯が現在の浜田山に当たる

参考:建設白書

緑豊かで低層住宅が広がる浜田山邸徴

緑豊かな浜田山

善福寺川緑地

浜田山は、前述の「東京緑地計画」の影響を受け、住宅街の中にも多く緑が残されています。駅の北側には全長3.0kmにも及ぶ善福寺川緑地、隣接する和田堀公園、南側には柏の宮公園、杉並区でも最も大きな樹林地である三井の森公園と、広々と個性のある緑地が広がります。

都内23区の中で5番目に緑被率が高い杉並区の中でも、浜田山は有数の自然に囲まれたエリアとなっています。

23区の緑被率の比較

23区の緑被率

参考:板橋区HP

穏やかな時間が流れる高級住宅街

また、浜田山周辺は緑豊かなだけでなく、景観も意識した都市開発が行われています。駅前の商店街を過ぎると、閑静な住宅街が広がりますが、これは第一種低層住居地域という建物の高さや敷地境界から外壁までの距離が厳しく制限されているためです。店舗や事務所などの建築も認められておらず、商業施設特有の煩さもありません。

高層の建物を建てることができないため、1~2階建てのゆったりとした良質な邸宅が立ちならび、都心でありながら空を感じる街並みが実現しています。

浜田山駅周辺の用途地域

浜田山駅周辺の用途地域
最も薄い緑で塗られたエリアが「第一種低層住宅地域」。浜田山駅の北側、南側どちらも駅周辺を超えると第一種低層住居地域が広がる

参考:すぎナビ「都市計画情報

浜田山の高級住宅街は何丁目?

1丁目~4丁目まである浜田山のうち、高級住宅街は何丁目なのでしょうか。先ほどの浜田駅周辺の用途地域の地図が示す通り、駅前と大通りを除いて、浜田山は、1丁目から4丁目まで用途地域は第一種低層地域で建蔽率(敷地面積に対する建設面積)の割合)は50%となっており、どのエリアも十分な敷地を確保したゆとりのある一戸建てが広がります。

緑豊かな浜田山を代表する高級マンションも一つ紹介します。2009年に竣工された「パークシティ浜田山」は、住所は浜田山二丁目の隣、高井戸東一丁目になりますが、敷地内には約2000本の樹木が植栽され、西側は「三井の森公園」、東側は「柏の宮公園」が隣接し、緑豊かな浜田山の中でも緑が楽しめるマンションとなっています。 マンション愛好家からの評価も高く、ヴィンテージマンションとして、永く人々に愛されることでしょう。

パークシティ浜田山
パークシティ浜田山

浜田山はポルシェが日本一売れる街?

ポルシェ

なぜ浜田山が高級住宅街といわれるかを象徴するエピソードとして、浜田山は「日本一ポルシェが売れる街」というのがあります。2022年にNHKで放送されていたドラマ「正直不動産」の第9話で、紹介されていたのを見た方もいるかもしれません。

ポルシェは、ベンツやアウディなどと並ぶ人気の輸入車のブランドですが、エントリーモデルの新車であれば500万円台から購入できるベンツやアウディと違い、ポルシェは最も安いモデルでも新車は800万円台からとより高価格の設定となっており、高級車の象徴といえるでしょう。

浜田山が「日本一ポルシェが売れる街」の噂は本当なのか、検証した記事によると、実際のところはよくわからないようです。とはいえ、田山の北側を通る井の頭通りでは、ポルシェだけでなく、レクサス、ベンツ、アウディ、プジョー、アルファロメオなど数多くの高級車の販売店が店を構えており、所得の高い人たちが集まる高級住宅街であることは間違いないでしょう。

余談ですが、筆者もこの浜田山近辺に住んでいたころ、井の頭通り沿いのスーパーに行くと、駐車場にベンツやアウディといった外車が数多く並んでいることに驚きました。浜田山周辺は、駐車スペースがきちんと確保された邸宅が並んでおり、車にこだわる人が多いのでしょう。

浜田山に住む有名人は?

浜田山は有名人も多く住んでいるといわれています。有名人に選ばれる街、これまた高級住宅街の条件といえるでしょう。浜田山は、豊かな自然に囲まれた閑静な住宅街でありながら、芸能事務所が多く集まる渋谷や六本木方面へのアクセス利便性が高く、有名人が住むにはもってこいのエリアです。

小説家の故・松本清張の豪邸、以前はキムタクや女優の杏さんや東出さんも浜田山に住んでいたそうです。

まとめ

以上、なぜ浜田山が高級住宅街といわれるかについて解説しました。一度、緑豊かな低層住宅が広がる浜田山を散策してみてはいかがでしょうか。

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