「渋谷」と「吉祥寺」という都内でも人気の街を結ぶ「井の頭線」。井の頭線沿線の各駅は、住環境に優れた閑静な住宅街が多くあります。
その中でも、「永福町」、「浜田山」、「久我山」は、緑豊かな閑静な住宅街が広がり、「高級住宅街」としての評価も高いです。ここでは、そのうちの一つ、「久我山」の魅力について紹介します。
久我山の歴史
千代田区の番町や麹町、港区の赤坂といった山手線の内側の高級住宅街エリアは、江戸時代の武家屋敷としての歴史的背景を持ち、高級住宅街として芸能人や財界人などのお金持ちが住むエリアとなっています。
「東京の本当の高級住宅街はどこか?」と問われたら、武家屋敷をツールに持つこれらの街を挙げる人が多いことでしょう。
皇居を中心とした江戸時代当時からの高級住宅街と異なり、久我山を含めた杉並区一帯は、江戸時代300年を通じて農村地域でした。久我山が高級住宅街と呼ばれるようになったのは、戦後になってからです。
1933年に帝都電鉄(現在の京王電鉄の前身会社の一つ)の全線開通と合わせて、久我山駅も開業しました。戦後復興の歩みとともに、井の頭沿線の久我山、永福町、浜田山といった駅は、都心近郊の住宅街としての開発が進み、今に至ります。
井の頭線沿線の住宅街の魅力
15年以上前の調査にはなりますが、2008年に行われた野村総合研究所の調査では、私鉄沿線別の1世帯あたりの年間総所得、金融資産保有額共にランキング1位が井の頭線でした*。お金持ちが最も多い私鉄沿線だったのです。
杉並区も高齢化が進み、高級住宅街としての人気は少し落ち着いていたようですが、「渋谷駅」と「吉祥寺駅」の都内でも人気の2駅を結ぶ井の頭沿線の閑静な住宅街は、他の沿線にはない魅力があります。
「サブカルの聖地」と呼ばれた下北沢は、再開発が進み、複数の商業施設、ホテル、温泉旅館、イベントスペースなど、駅前に全長1.7kmの商業エリアが広がる下北沢を除くと、大半の井の頭線沿いの駅は、駅前のほどよい規模の商店街の先には、閑静な住宅街が広がります。
駅前の商店街の先は、建物の高さ、建物の種類も制限された第一種低層住居専用地域には、開放的で落ち着いた雰囲気が保たれ、都内でありながら、広大な敷地にゆとりある庭を持ち、緑豊かな住まいが目を引きます。
閑静な住宅街を南北に抜けると、幹線道路や高速道路が走り、都内で車のある生活を楽しむことができ、井の頭線を使えば渋谷駅や吉祥寺駅に1本と、住環境と高い利便性を両立できます。都内の閑静な住宅街で一戸建ての生活を考えた際に、おすすめできる沿線と言えるでしょう。
※1 私鉄沿線ランキング
久我山の街並み
京王井の頭線の急行停車駅である「久我山駅」は、渋谷から直通で4駅13分、吉祥寺から1駅3分という利便性です。久我山駅の南側を流れる神田川を上流に向かうと、武蔵野の面影が残る都内有数の人気公園「井の頭恩賜の公園」があります。
神田川や玉川上水の水辺の潤い、緑豊かな武蔵野と、豊かな自然と都心への利便性を兼ね備えた高級住宅街の久我山の街並みを紹介します。
久我山商店街
久我山駅の南北に「久我山商店街」が広がり、スーパーやドラッグストア、飲食店、個性豊かな個人店が軒を連ね、日々の生活に彩を与えます。パチンコなどの遊技場もなく、落ち着いた雰囲気が心地よい商店街です。
スーパーマーケットは、駅前に「ピーコックストア久我山店」と「サミットストア久我山店」があり、高級食材から日常食材まで揃えることができます。
久我山駅近くを流れる神田川と玉川上水
久我山駅の南側には、神田川と玉川上水が流れ、緑も豊かな水景を楽しめます。毎年6月には、神田川、玉川上水沿いに約2,000匹のホタルが放流され、区外からも含め、5万人の人が訪れる人気イベントとなっています。
久我山駅の南側を流れる玉川上水は、江戸時代に多摩川の水を江戸市中に運ぶために開削した浄水路で360年以上の歴史を持つ用水路です。玉川上水の周りには、緑豊かな自然が多く残されています。
久我山の高級住宅地
神田川が流れる久我山駅の南口は、杉並区のハザードマップを見ると、0.5mの浸水エリアとなっています。高級住宅街は一般的に、災害リスクが低く、眺望の良い高台にあります。久我山も同じく、久我山駅を出て「久我山商店街」の坂を北に上った先の武蔵野台地の高台に位置する久我山4丁目、5丁目のエリアが高級住宅街です。
整然とした街並みが広がる閑静な住宅街を散策していくと、広大な敷地を緑が囲む邸宅が目に入ってきます。
井の頭線の快速で、久我山駅から吉祥寺駅までは一駅です。家電や家具などの大きな買い物にするにも便利ですし、外食を楽しむ。井の頭公園にも近く、桜や紅葉、四季折々の花や緑を楽しめます。渋谷方面へ通勤しながら、緑に囲まれた暮らしをしたい方には、もってこいのエリアと言えるでしょう。
文教エリアとしての久我山
久我山には、都内でも屈指の名門校が複数存在する高級住宅街にふさわしい文教地区でもあります。
旧制中学の都立ナンバースクールを前身とする戦前からの伝統校、都立西高校。久我山駅の北口を進み、閑静な住宅街を抜けた先の井の頭通沿いにある本校は、東大や京大を始めとする難関大学への進学実績を誇る都内屈指の公立進学校です。政治・行政、財界、学術など幅広い分野に有名人・芸能人を輩出しています。
久我山駅の南口から久我山商店街の坂をのぼり、玉川上水を越えた先には、國學院大學久我山中学高等学校があります。國學院久我山は、スポーツ名門校でもあり、「5強」と呼ばれるバスケ、サッカー、野球、陸上、ラグビー部の強豪校として特に有名です。
2024年にはバスケットボール部、陸上部が全国大会に出場し、野球部も2022年の春の甲子園4強の結果を残しています。スポーツだけではなく、毎年、東大や早慶を始めとする難関大学への進学実績を残す文武両道の私学です。
井の頭線には、東大の教養課程、教養学部のキャンパスがある駒場東大前駅があります。久我山駅にも、東大の学生や東大の教授方も多く住んでいると言われています。
まとめ
以上、高級住宅街としての久我山の魅力について紹介してきました。渋谷方面にお勤めで、閑静な住宅街に戸建ての住まいを考える方には、ぜひ検討いただきたい街の一つです。
この記事を書いた人
宅地建物取引主任者。某通信キャリアGに勤務した後、インターネット企業で、専任宅建士、不動産メディアの責任者、全国に展開する住宅FCのWEB戦略など、IT・不動産業に従事。
最近は、物流関係の仕事で、関東・関西を行き来しています。
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