杉並区上荻にある荻窪駅。中央線と東京メトロ丸の内線の2路線が乗り入れ、都心へのアクセスも良好です。
荻窪は、大正から昭和にかけて「西の鎌倉、東の荻窪」と称され、東京近郊の別荘地として栄えました。新宿と東京の西側を結ぶ都営杉並千の終着駅が荻窪であり、歴史に残る芸能人・有名人が多く移り住みました。
高級住宅街「南荻窪」の住みやすさ
荻窪の中でも高級住宅街といわれる荻窪駅の南側一帯の「南荻窪」。詩人・作家の与謝野晶子、版画家の棟方志功など、多くの芸能人・文化人が移り住みました。現在も高級住宅街として人気があり、住宅街の中には、当時の文化の面影を残す史跡がいくつも残っています。
荻窪駅南口を出て交差点の先に仲通り商店会の入り口があります。仲通り商店会には、昔ながらのお店から人気の珈琲店、スーパー・ドラッグストアなど様々な店が立ち並びます。個性豊かな繁盛店からチェーン店まで、商店会に溶け込みながら個性豊かな商店会を形作っています。仲通り商店会の先には、閑静な住宅街が広がります。
南荻窪の高級住宅街は芸能人が多い?
数々の芸能人・有名人が住んだ南荻窪。当時を面影を残す史跡を見て回りながら、南荻窪に住んだ有名人・芸能人を紹介していきましょう。なお、本文では、杉並区南荻窪の町域だけでなく、荻窪駅の南口の荻窪、南荻窪一帯の施設を紹介しています。
西郊ロッヂング
昭和時代に高級下宿としてスタートした洋風建築の「西郊ロッヂング」は、当時の荻窪の面影を今なお残しています。戦後は旅館として運営され、2009年に登録有形文化財として登録されています。
明治天皇荻窪小休所
「芸能人」ではありませんが、かつては明治天皇も荻窪に訪れました。荻窪駅の南口から東へ3分ほど歩いた場所にある高層ビルの下には、「明治天皇荻窪小休所」があります。明治天皇が行幸される際、中田家の屋敷に休息のために立ち寄ったとされています。現在も長屋門が残され、門の手前には桜の木が植えられ、駅周辺のちょっとしたお花見スポットとなっています。
与謝野公園
南荻窪に住んだ代表的な有名人・芸能人としてあげられるのが、明治時代から昭和初期にかけて詩人、評論、文学研究など活躍した与謝野晶子・鉄幹夫妻です。
大正12年(1923年)の関東大震災の体験から、昭和2年(1927年)に麹町の自宅から荻窪に与謝野夫妻は移り住み、終の住処として晩年を過ごしました。南荻窪の住宅街の中にひっそりとある「与謝野公園」は与謝野夫妻が過ごした家の跡地です。昭和57年(1982年)に「南荻窪公園」として開園し、その後「与謝野公園」と名称変更しています。この地で与謝野夫妻は歌会を催したり、全集の編纂に取り組むなどしました。
与謝野公園は、まるで夫妻の自宅を訪れたかのような趣向を凝らしています。入り口には、玄関先をイメージした門柱、園内には夫妻が好んだとされる樹木が植えられ、夫妻が残した歌碑がいくつも置かれています。子どもだけでなく、大人も楽しめる公園となっています。
大田黒公園
荻窪駅から徒歩10分、西郊ロッヂングを南にさらに進むと左手に大田公園の正門が見えてきます。音楽家である太田黒元雄が、晩年の音楽活動を。大正時代にドビュッシーやストラヴィンスキーを初めて日本に紹介し、同時代の欧米音楽の普及に努め、戦後は、NHKのクイズ番組に出演するなどしました。
晩年、音楽活動を続けた屋敷跡を公園にして欲しいという大田黒氏の遺志により、杉並区に遺族から寄贈され公園となりました。園内には銀杏並木やケヤキ、クロマツ、アカマツなど巨木が茂っており、従前からの樹木を保存したものです。
園内にある記念館は、昭和8年に建築された西洋風の建築物であり、大田黒氏が使用していたピアノや蓄音機が飾られています。
角川庭園
KADOKAWAの前身、角川書店の創設者の角川源義(げんよし)の旧邸宅です。KADOKAWAというとアニメコミックやライトノベルの出版社のイメージがありますが、もともと角川書店は文芸出版社として評価が高い出版社でした。
創設者の角川源儀は國學院大學で折口信夫や柳田國男に師事したのち、戦後、角川書店を設立します。1952年に刊行した昭和文学全集が大ベストセラーとなり、文芸出版社としての評価が高まり、1955年に現在の角川庭園・幻戯山房「すぎなみ詩歌館」に移り住みました。
庭園は、建物入り口付近にアカマツ・ウメ、茶室の前にはコナラ・エゴノキなど、四季を通して樹木の花や草花を楽しむことができるよう自然な庭園を維持するように管理されています。
太田黒公園、角川庭園どちらも茶室の貸し出しを行っています。歴史的・文化的資産のある庭園内の茶室が近所で楽しめることもまた、高級住宅街の文化的豊さを感じさせます。
まとめ
いかかでしたか。高級住宅街ともいわれる南荻窪には、様々な有名人の史跡が残っています。これらの施設は、半日もあればすべて回ることができます。地図を片手に、南荻窪の住宅街を散歩してみるのもよいかもしれません。
この記事を書いた人
宅地建物取引主任者。某通信キャリアGに勤務した後、インターネット企業で、専任宅建士、不動産メディアの責任者、全国に展開する住宅FCのWEB戦略など、IT・不動産業に従事。
最近は、物流関係の仕事で、関東・関西を行き来しています。
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